最初は、ただ疲れていただけだった。
仕事、人間関係、家のこと──
誰にも言えないストレスが蓄積して、
「自分を整えたい」と思い、女風を予約した。
恋をするつもりなんて、まったくなかった。
むしろ、「癒しのサービス」と割り切るつもりでいた。
なのに、
“あの日” を境に、私の心は静かに揺れ始めた。
■ 実録エピソード:
「あなた、ずっと頑張ってるね」その一言で涙がこぼれた
初めて会ったとき、
彼は柔らかく微笑みながら私の目をまっすぐ見た。
「今日は、来てくれてありがとう。
ここでは、全部脱ぎ捨てていいですよ。」
その瞬間、胸の奥がふっと温かくなった。
施術中、彼は私の話を遮らず、
驚くほど丁寧に、ゆっくりと聞いてくれた。
「そうなんですね。」
「それ、すごくしんどかったですよね。」
「頑張ってきたのが分かります。」
夫にも、友人にも、
こんなふうに“感情をそのまま受け止められた”ことは、
いつ以来だっただろう。
優しさだけじゃない。
上辺だけの同情でもない。
彼は、私の言葉の「温度」まで拾ってくれた。
そして帰り際、彼がふとつぶやいた。
「あなた、ほんとに素敵な人ですよ。」
不思議なくらい自然に、
その言葉が胸に吸い込まれていった。
あの日から、
彼の存在が、心のどこかに灯りのように残り続けている。
■ なぜ惹かれてしまうのか?
“癒し”の先にある、3つの心理的理由
① 「理解される」経験が、久しぶりだったから
大人になるほど
「誰かにちゃんと理解される」
機会は減っていく。
家庭でも、職場でも、
気持ちをそのまま言葉にできる場は少ない。
セラピストは、
評価やアドバイスではなく、“共感”を返すプロ。
だから、心が自然にゆるむ。
この安心感は、恋に似ている。
② “女性として扱われる”ことに久しぶりのときめきが生まれるから
既婚・未婚に関係なく、
大人の女性ほど「女性」として扱われる瞬間が減る。
優しく触れられ、
丁寧に扱われ、
「あなたは大切な存在」と示される。
それは、
長く忘れていた“女性としての自分”が
再び息を吹き返す瞬間。
③ 安心とドキドキのバランスが絶妙だから
セラピストとの関係は、
・安全
・限定的
・非日常
という“三つの特殊条件”が揃っている。
人は、このバランスに惹かれやすい。
心理学ではこれを
「安全なときめき」 と呼ぶ。
恋のような刺激があるのに、
壊れる怖さが少ない。
だから心は無意識に
“特別な感情”を抱いてしまう。
■ それでも、恋とは違う
――セラピストは「心を扱うプロ」
惹かれる気持ちが生まれるのは自然なこと。
ただ、彼らは仕事として“癒し”を提供するプロ。
- 共感
- 安心
- 包容力
- 優しさ
これらは「本気の恋」の表現と似ているため、
気持ちが揺れやすい。
でも、それは
あなたが弱いからでも、勘違いしたからでもない。
“心が安心を求めた結果”なのだ。
■ 最後に
彼に惹かれたのは、
あなたの心が、誰かの優しさを必要としていたから。
その優しさを受け取れたこと自体、
あなたがこれまで頑張ってきた証でもある。
彼との出会いは、
あなたを甘やかしてくれる “一時的な灯り” かもしれない。
だけど、その灯りのおかげで、
少しでも心があたたかくなれたのなら――
その出会いは、間違いなく意味があったのです。

