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彼は、2年半セラピストを専業で続けた。
いまはフリーランスのエンジニア。
女風の世界に戻るつもりはないという。
「お金になると思って始めました」
最初は、その一言だった。
■ 専業という決断
副業ではなく、専業。
「本気でやれば稼げると思っていました」
需要はある。
リピーターもつく。
ランキングも上がる。
努力すれば、数字は伸びる。
最初の半年は順調だった。
■ “選ばれる側”の現実
だが、専業になると、話は変わる。
「リピートしてもらわないと、生活が成り立たない」
プレッシャーが増した。
彼は、考えた。
どうすれば選ばれるか。
どうすれば戻ってきてもらえるか。
■ 気づけば“持ち出し”
「ご飯をおごったり、プレゼントを渡したり」
自腹だった。
「喜んでほしかったのもあります。でも、正直、営業です」
他のセラピとの差別化。
印象に残る努力。
でも、積み重なる出費。
「意外とお金、かかりますよ」
売上が上がっても、
手元に残るとは限らない。
■ “選別セラピ”と呼ばれて
転機は、あるトラブルだった。
彼は、リピーターを大切にしていた。
当然、時間には限りがある。
結果として、予約を断ることもあった。
すると一部のユーザーから言われた。
「選別してる」
SNSで“選別セラピ”と書かれた。
「正直、きつかったです」
選んでいるのではない。
ただ、時間が足りないだけ。
それでも、印象は一人歩きする。
■ 精神的に削られていった
「期待と失望が、常に隣り合わせ」
今日は喜ばれる。
次は責められる。
「優しくすれば距離が縮まる。線を引けば冷たいと言われる」
その繰り返し。
専業だからこそ、逃げ場がなかった。
「常に評価されている感覚でした」
■ 辞めた日
2年半。
売上は悪くなかった。
でも彼は、限界を感じていた。
「精神的に疲れてしまって」
辞めると決めたとき、不思議と静かだった。
惜しむ声もあった。
戻ってきてほしいという声もあった。
それでも。
「もう背負えないと思いました」
■ いまはフリーランスのエンジニア
現在は、フリーランスのエンジニア。
評価は数字で出る。
感情に揺さぶられない。
「向いているのは、こっちでした」
女風の経験を後悔しているかと聞くと、首を振る。
「経験としては大きかった」
ただし。
「戻るつもりはありません」
■ 女風という世界
「甘い世界ではない」
稼げる人もいる。
長く続けられる人もいる。
でも、それには覚悟がいる。
「僕には、そこまでの覚悟がなかった」
最後に彼はこう言った。
「人の感情を仕事にするって、簡単じゃないです」
2年半。
それが、彼の答えだった。
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